私的世界・・

漫画やアニメの感想、日々の徒然を思いつくままに綴っています。

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スケルトン イン ザ クローゼット



『町でうわさの天狗の子』の岩本ナオさんの初単行本です。

読み切りの短編集ですが、
登場人物が次々と主役になる手法ってとっても好き!

初期作品だけあって、今よりもうちょっと尖った感じもしますが、
岩本さん特有の、日常があっさりとゆったりと少しとぼけた感じで過ぎていきます。

雰囲気としては、「少女漫画」というより女性作家の小説、みたいな・・。

岩本ナオさんの作品はキャラがそれぞれ普通に生きている温度があって、
町のにおいがするところがとっても好きです。

話ごとにどんどん視点が変わるので、1冊の中の密度がかなり濃いです!
読み応え満点ですよ!

ただ、難点といえば・・

どの話も続きが読みたくなります・・!

もう少し詳しい感想↓
表題作『スケルトン インザ クローゼット』
「たんすの中の骸骨」つまりは「見られたくない子供」を意味するんだそうです。

『スケルトン』は3話収録されています。
「SHOT1」が公認会計士を目指す出来の良い兄・カンちゃんのお話。
「SHOT2」は勘当同然で漫画家になった出来の悪い弟コージが主人公。
「SHOT3」は兄弟の従妹・野花(のはな)が主人公です。

カンちゃんは出来が良いゆえに他人に冷淡な印象ですが、
お兄ちゃんゆえに実はかなり面倒見よかったりします。
コージと野花はよくカンちゃんの家に集まって、カンちゃんの勉強の邪魔をしていますが、
実は彼らなりに勉強の息抜きに訪れていたりします。
カンちゃんは会計士の難関試験にも自信有りの優秀さですが、
試験の日に体が動かなくなってお医者さんにかかった経緯があります。
原因はストレスですが、本人はぴんと来ていません。
1日8時間の勉強、4時間の睡眠でも性に合っていると思うカンちゃんですから、
傍から見ていると息苦しかったりするんですよね。

コージは昔からカンちゃんと比べられてきたゆえに、
無抵抗にカンちゃんには敵わないと刷り込まれています。
本人はいたって穏やかな人当たりの良いヘラヘラした性格なので、素直にお兄ちゃんを尊敬しています。
コージが「これからも尊敬させていて欲しい。」というのを
偶然聞いてしまったカンちゃんが吐露します。
「まだ何もなしえてないのに、何だ、この達成感は。」
カンちゃんはいつもコージを素直に褒めてあげることもできず、
漫画家になることで家と断絶しかけている弟に手をさしのべることもできていません。
それでも、カンちゃんは自分がうまくやれば両親も弟もうまくいく、と思っていたりする訳です。
結局「お兄ちゃん」なんですよね、カンちゃんは。

コージは岩本ナオさんの作品によく出てくるタイプの人間です。
『天狗』のタケル君や『雨無村』のスミオみたいな。

物事にはこだわらない性質です。
それでも、一人で上京して作家には向いていないと言われ、
母親には15分の無言の後会話もなく電話を切られたりして、
そんな時に見ず知らずの人が、雨で傘を貸してくれただけで泣いたりしていたのです。

この正反対は兄弟が同じ人を好きになってしまうのです、が、
物語はそこで終わってしまうので、恋愛については全く動かず終了だったりします。
いいんだけど・・。
いいんだけど、続きが読みたい(>_<)

兄弟の従妹の野花は15歳の中学生です。
おじいちゃんが議員のブルジョワお嬢で、とっても生意気盛りです。
かなりの額のお小遣いをもらっているようで、
何でもお金で解決しようとしたりしますが、
感受性が強く客観的に自分を見ている部分もあったりで
本当は繊細な女の子なんだろうなぁ、という感じ。
野花って可愛い名前!
この野花ちゃんはピンクブロッサムちゃんという、自分の理想を盛り込んだ痛いブログを作っています。
そのブログに恋人との画像を載せるのに、コージをお金でつって一緒に写真を撮るのですが、
この時のコージが好き。
「お金ならいくらでも払うわ。これに着替えて。」と写真撮影を強要する野花に
「現金は生生しいからおスシがいい。丸くて高いやつ」という返事が好き。
「お安い御用よ。私がM字開脚しろって言ったらやるのよ。」
「するする。」
ここいらの会話が岩本さんだと思います。
野花にも恋になりそうな役回りの若松君がいますが、
やっぱりこちらも恋愛面はかすかに香ってくるかどうか、って感じなのです。
野花と同じレベルのブルジョワお坊っちゃまな若松君が野花の家庭教師(カンちゃん)に対抗して
「1時間25万ぐらいの家庭教師雇って。」と井上さん(お手伝いさん)に目の前で電話したりします。
見た目は良さげなんですが、みんなバカ息子扱いされています。
この2人はお金持ちの家庭ゆえの寂しさを共有していて、
恋人にはならなくても親友にはなれそうです。

物語のラストを迎えても、
3人の日常は全く何も変わっていませんが、
でも何かが変わっていっている、というのはわかります。
読む人によって印象的な場面は変わるんじゃないかな、と思うお話です。

その後の3話も登場人物で視点が変わっていく短編です。
『雪みたいに降り積もる』
英単語が苦手なあや子と理屈っぽい熊谷君が付き合い始める話。
『天狗』でもよく思いますが、岩本ナオさんは学校特有の女子社会の描き方が上手だと思います。
その女子たちからアンケート用紙を受け取って、
さらりとあや子に告白しちゃう熊谷君が良かったです。
あや子もとぼけていて可愛い。

『僕の一番好きな歌』はあや子のお隣さんで親友のユリコのお兄ちゃん・雄大の話。
雄大はあや子のお兄ちゃん・アキラの親友です
上記のコージのような穏やかなタイプで、かなり気弱です。
ビートルズが大好きで、ギターを趣味にしています。
自分では「下手」というくせに、何でもかんでも謙遜するから実は超うまかったりします。
気弱なくせに好きな坂上さんには天然で押しが強かったり、
坂上さんがアキラみたいなタイプを好きなのかと勘違いした後には、
アキラに「お前らしく生きろ」と言われて「そうする」とあっさり肯定しちゃったりで、
本当は図太いんじゃないの?な感じがします。
ラストでアキラが坂上さんに
雄大のギターを「その気がないなら絶対聴くなよ。」と忠告するのが好き。
「俺でもたまに付き合ってもいいかーって気分にさせられるからさぁ」というほど上手いみたいです。
これは、坂上さんは落ちるね!っていうのが分かるラストで終わり方も良かったです。

『青という言葉のない国から』はあや子の親友で雄大の妹・ユリコの恋のお話。
ユリコはずっとあや子のお兄ちゃん・アキラに片思いしていて猛アタックしています。
団地の隣同士なので、ベランダの非常口を破って行き来しているユリコは
アキラにとっては家族同然の存在のようです。
「知らないことはない」というアキラですが、
何でもないようなことで泣きだしたユリコを驚いて見つめたりして
ちょっとユリコにぐらつきかけたような・・。
でも、この二人がくっつくかどうかは微妙な感じですかね・・。
ユリコがパワフルで、抜け目ない女の子なのが可愛いです。

このタイトルは、「青」という言葉がない国では「青色」を認識できないという説があり、
そのことから「存在」は「名称」によって生まれるという結論に達した、という話からでした。
言葉はすごい力を発揮するんですね。

『その彼女の存在』は後ろの席の女子のおかげでとってもツいている、と
思い込んでいる主人公がそれが恋と気づきかけるまでのお話。
いやいやいや、気のせいじゃないって!というツき方です。

『花の名前』は雑誌の掲載で、岩本さんを私が初めて認識した作品かもしれません。
(斎藤けんさんも同じ題名の作品が好きだ)
女の子だと思っていた子が実は男の子だった、というラストがすごい好きです。

『冬色自転車』は中学生がバレンタインデーに近所の社会人のリョウ兄ちゃんに告白する話。
主人公の女の子が潔いのです。
困惑するリョウ兄ちゃんに「でもイギリス(猫)はちゃんともらうからね」と、
ふられることは覚悟済みなのです。
でももらう予定の子猫はちゃんともらうよ!って。
リョウ兄ちゃんも言っていますが、「感動したんだ」です。潔い!
返事はないままに物語は終わります。
「返事はもうちょい待ってな。考えがまとまってない。」と言うリョウ兄ちゃんに答えて、
「いいよ。どう考えても私が欲しい答えもらえないのわかっているから。」
この作品はここで終わりで良いかも、と思います。
読み切り作品として完結していると思います。

でも、中学生もあと3年もすれば18歳ですもんね。
20歳過ぎたら10年以内の年の差なんて気にならなくなりますよね、リョウ兄ちゃん・・。

これらの話が1冊にまとまって、
かなり、物語の密度が濃いです。

日常を切り取ったようなお話で、
登場人物たちはこの後も物語が続いていくんだろうな~と想像できます。
読み切りの短い話でも、たくさんの人物がいて、
人は人とつながって物語は作られるんだなぁ、と思います。

どの話も本当に、続きが読みたくなること間違いなし!です。
そこはいいんだか、悪いんだか・・ですね^^;

[ 2010/04/14 00:56 ] 漫画 | TB(0) | CM(0)
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Author:uwachan
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主にアニメや映画の感想、行ったイベントの感想などを備忘録的に綴っております。
町でうわさの天狗の子、夏目友人帳、マクロス関連に関して記事多めです。2012年11月から『ゴティックメード』に熱狂中!

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